悔しいけどクドカンは面白い

先週、今週と二週連続で映画を観ました。
福山ヲタに勧められた『そして父になる』と、予告を観て絶対観たいと思った『謝罪の王様』です。
ネタばれあるのでたたみます。





まずは『そして父になる』、私も大好きな福山雅治主演の映画。
しかも独身イケメンの福山さんが、6歳男児のパパ役です。
某映画祭で賞を獲ったことも話題だったため、映画館は超満員でした。



さてストーリーはというと、簡単に言うと「子供の取り違え」から発生するそれぞれの家族の葛藤を描いた映画。
こういう題材の場合、だいたいの流れは予想できるため、見どころは役者さんたちです。


福山パパは超エリートサラリーマン、豪華なマンションに住み、いい車に乗り、きちんとした生活態度、奥さん美人子供もカワイイ、これ当然ですね。
こういう家族にありがちな、パパはちょっと傲慢というかエリート臭が鼻につく感じ。
ま、考えてみればガリレオ湯川博士もそうだし、他の役どころも頭脳明晰沈着冷静な役が多いですね。


その妻、みどりを演じたのは尾野真千子
私、恥ずかしながら知りませんでした、名前しか。
この役にぴったりな感じの、優しくて明るくて品があって、でもしっかりと芯のあるママ役をこなしていました。
いわゆる、セレブママだけど嫌味がなくて良かったです。


子供を取り違えられたもう一方の家族は、前橋で小さな電気店を営む子沢山の家族。
お父さん役のリリー・フランキー、ほんとぴったりハマリ役でした。
いい加減なオヤジで、ノンビリ仕事してて、妻の尻に敷かれてる、普通のお父さん。
でも子供にとっては最高に楽しい父親、つまり福山パパと対極の存在として描かれます。


その妻、ゆかりを演じる真木よう子がとっても肝っ玉母さんでした。
三人のお母さんはガサツで強引なところもあるけど、本当は子供思いの頼もしいお母さん。
子供たちのいるところでタバコを吸っちゃうような、ちょっぴりヤンキーっぽいところなどは、みどりと対照的です。


そして、なんと言っても立役者は、両家の子供たちを演じた二人。
この物語の一番の被害者というか、切ないポジションを健気に演じてて、ほんと泣かされました。
特に福山家の(ほんとは野々宮家)一人っ子を演じた子は、身体も細くて小さくて、繊細そうで上品であどけなく賢い感じがたまりません。
片や電気店の子は、ヤンチャ坊主のどこにでもいる元気な子。


でもねえ、6年間も育ててから「その子は他人の子供でした、交換しますか?」と聞かれてもねえ。
親も苦しいけど、子供はその何倍もつらいでしょう。
だって、「キミは今までのことをすべて水に流して、今日からここの家の子だよ!」とか言われたら、どんな気持ちでしょう。


そのあたりの子供の心情を、ほとんど無視した形で大人の事情ばかりな点は、ちょっと不満。
もっと双方の家族内での葛藤があっただろうに。
お互いの家で何度も交流を図って、少しずつ進めたにしても、現実はもっとドロドロしてると思う。
福山パパが冷徹な父親だから、っていうコンセプトなのかもしれないけど。


と、子供のこととなると熱くなってしまってスミマセン。
ラスト、どんな結論を出し、そして結末は…。
映画を観てる最中、いっせいにみんながハンカチを出して「ズルズル〜」と鼻をすするタイミングがあります。
それは、どこのどんな場面か、観てのお楽しみです。









そして、奇しくも「土下座」が世の中を席巻し、『あまちゃん』でクドカン注目のこのタイミングで『謝罪の王様』です。
クドカンってことで、たぶんハチャメチャで面白いとは思っていました。
特に予告編で、あの竹野内豊サマがヘンテコな踊り(?)をしてる時点でもう…。
しかも主役は阿部サダヲと来れば、もう怖いものなしでしょ。


怒り狂っている人に対して、どうにか許してもらうために代行で謝罪する、または謝罪の方法を伝授する、というふざけた会社を興した男のコメディ映画です。
謝罪師、という言葉からしてもうオカシイ。


そしてそのアシスタントが井上真央が演じる、ピントがはずれたお嬢様。
こに二人がコンビを組んで、誰かに謝罪を迫られている人たちを助ける、というのですが。
謝罪の方法を考えることより、その謝罪しなければならない状況に陥るまでが…ありえない!


例えば、冒頭では若いギャルがめっちゃくちゃな車の運転をしてて、後方車にぶつけたらそれがヤクザの車だった、とか。
下着メーカーの若い男性社員が、契約メーカーの女性社員にすごいセクハラしちゃったとか。
友好国で映画をのロケをした際に、その国にとってとても失礼なふるまいををしてしまい、国交断絶の危機とか。
他にもバカバカしいとしか言いようのない、「そんな状況になるか?普通」って感じのシチュエーションがてんこ盛り。


でも演じてる役者さんが上手くて、なんかそのまま引き込まれちゃう。
そういえば、セクハラされて怒りまくる女性社員を尾野真千子が演じてました。
『そして父に〜』とはまったく違った印象で、はじめはわからなかったくらい。
セクハラ野郎が岡田将生ってのもツボ。
あの美しい顔で、すっごいセリフをぼんぼん言うの。


他にも、高橋克実松雪泰子の大物芸能人夫婦、日本の首相の嶋田久作、変な通訳の濱田岳など、芸達者で味のある配役が楽しさを倍増させてくれます。
そしてエリート国際弁護士の竹野内豊もまた、ある人物に謝りたいと相談してくる一人です。
その、ある人物とは…?
どうして竹野内がアホ踊りをするのか?
そしてキーワードの『わき毛ボーボー自由の女神』とは?
このキーワードからしてアホらしくて笑っちゃいますよね。


ちょっとしんみりシーンもあるけど、ほとんどが思わず「ぷっ」と吹き出しちゃうシーンの連続です。
クドカン、さすがです、脱帽でした。