号泣したり唖然としたり

BOOKカテがまったく機能してなくて申しわけないです。
読んでるんですよ、かなり。
でも、なかなかエントリとしてあげることができなくて。


今回は、旅行に持って行って読んだ本などのご紹介ですが、特に『泣ける一冊』『唖然とする一冊』というジャンルでのご紹介。


ネタバレも少しだけあるので、たたみますね。




秘密 (文春文庫)

秘密 (文春文庫)


いまだ人気衰えない東野圭吾作品、何冊もまとめ読みしてます。
この『秘密』は「これ映画化されたなー」ぐらいの認識しかなくて読み始めました。
そんなラノベを読むような軽い気持ちだったのに、ラスト号泣でした。


何でもない普通の三人家族が、主人公。
ある日、妻と11歳の娘がバスツアーの事故に巻き込まれる。
そして、不幸にも妻は亡くなってしまう。
生き残った娘と一緒に亡き妻を思いながら暮らそうと決心する父親。


しかし、その娘の意識は、なんと亡くなった妻のものだった。
つまり、肉体は滅びても精神は娘の身体に宿っていたということ。
娘の精神はいったいどこへ?


物語は、入れ替わってしまった妻と娘とどう折り合いをつけていくか、大変な毎日を強いられることになった夫妻を中心に描かれます。
それは、ときにコミカルでときに切なく悲しい。
妻と娘両方を失うよりはずっとまし、という思いもあるし、だんだんそんな異常な生活に慣れて行く部分もある。


中身は妻でも外見は中学生なので、夫は他に恋愛対象を欲したり。
娘のほうも、クラスメートから交際を申し込まれたり。
やっぱり夫婦としては、ギクシャクしてしまう毎日。
そして、ラストはやっと娘の中身が戻ってきて、妻は消える・・・。
かと思いきや、なんとここからが号泣展開です。
中身が入れ違っちゃうなんてありえない!って思うのに涙が止まらない。
母親と娘の可愛らしさ、切なさが東野マジックの真骨頂です。
ぜひオススメ!








白夜行 (集英社文庫)

白夜行 (集英社文庫)


これもまた東野作品。
大阪での殺人事件、この犯人捜しが物語の中心。
その被害者の息子である亮司と、加害者の娘である雪穂の両方の立場を描きつつ、事件の核心に迫って行きます。


殺人事件から19年たち、成長した二人はまったく別々の人生を歩んでいる。
亮司は主婦売春の斡旋やゲームソフトの偽造など、犯罪すれすれの裏道人生。
雪穂は、美貌と優等生ぶりを生かして周囲から讃えられているが、なぜか殺人事件とかかわりになることが多い。


さて、この二人がどんな関係で、本当はどんな人間であるのか、様々な登場人物によってそれは明らかになっていく。
関わる人物が、次から次へと事故死していくさまは、鳥肌が立つほど恐ろしい。
暗く沈んだ瞳の無口な男と、美しく才気溢れた女が犯した本当の罪とは。
それは実は、つらく悲しい幼少期の過去につながっていた。
ラスト、その衝撃の事実に唖然とする。
読み終えると、どっと疲れる一冊です。








幻夜 (集英社文庫)

幻夜 (集英社文庫)


この物語も男と女の二人組が中心、しかも『白夜行』と微妙にリンクしてます。
阪神淡路大震災の直後、避難所で衝動的に殺人を犯してしまった雅也。
それを目撃した美冬。
この若い二人が、一緒に逃避行を続けながらのし上がって行く。


ところが、それだけではすまないのが東野作品。
この美冬が、美人なのに冷酷で残忍。
虫一匹殺せない外見をしながら、次々に悪事を提案し雅也に手を汚させる。


死体を切り刻むことを命ずるなど、痛快なまでに悪女の美冬、あっぱれです。
なぜ彼女がそこまで悪になりきれるのか、そしてその手先となった雅也の運命は?
これもラストは衝撃的。
「え、そんな…」と絶句でした。








永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)



話題の百田尚樹です。
映画化もされるとのことで、これも軽い気持ちで読み始めました。
ゼロ戦のゼロ?戦争ものかあ」なんて思って、少々暗い物語かなー、くらいの気持ちで。


ところが、この特攻隊の一人である宮部久蔵という人物を中心に、たくさんの人々の思いが描かれている、それはそれは壮大な物語だったのです。
宮部の孫である健太郎とその姉が、自分たちの祖父の生涯を調べようと思いたったことがスタート。
探し出した9人の戦友たちから、次々に宮部の思い出話を聞いて行く。
そして、そこから少しずつ炙り出されてくる事実とは・・・。


読んでいる最中、まず第二次世界大戦の悲惨さを痛烈に感じました。
次に主人公である宮部がなぜこの「お国のために死ぬことが使命」という時代に「死にたくない」と一途に思っていたのか、疑問に思いました。
そして、宮部の聡明さや繊細さや男らしさに…惚れてしまいました。
実際、本当に魅力的な男性です。
たった27歳で、特攻隊員として死んでしまうのですが。


フィクションとわかっていても、このストーリー展開にぐいぐいと引き込まれて、いつの間にか実在の人物のような錯覚を起こします。
祖父を思う健太郎と姉の、リアルな現実も織り交ぜてあるのが上手いところ。
とにかく、あまりの壮絶な人生に途中何度も涙し、ラストは号泣でした。
更に、ラストは驚愕の事実が判明するので、それもお楽しみ。
読んだあと、しばらく動けなくなるほどの感銘を受けました。
最近の中ではBEST3に入る小説。
若い人にも読んで欲しいです。








モンスター (幻冬舎文庫)

モンスター (幻冬舎文庫)


実はこっちを先に読みました。
世にも醜い顔に生まれた女性、田淵和子が主人公。
これもまた、壮絶なまでに情念を貫く女性として描かれます。


周囲の友人知人たちのみならず母親からも「ブス」と蔑まれ、その復讐として美容整形を極めて行くストーリー。
ただの復讐劇に留まらず、幼いころの初恋の相手への思慕が彼女の人生のすべてであるところが切ない。


それにしても、男性作家とは思えないほどの美容整形に関する記述の丁寧さ、リアルさ。
女性にとって「美貌」がどれほどの武器になるか、空恐ろしいほどにひしひしと思い知らされます。
どんどん美しく変貌していくたびに、社会的地位もどんどん上がって行く。
もう田淵和子はどこにもいなくて、そこには周囲がひれ伏すほどの美貌を持った鈴原未帆が君臨している。
その事実に愕然としながら読み進めます。


そして悲しすぎるラストに、ヒロインの昇華された魂を感じました。
これもまた、読んだあとしばらく考えこんでしまう一冊。





以上、作家としては二人だけでしたが、どれも超おすすめです。
特に百田作品は、これから次々に手をつけたいと思っています。






他、面白かったマンガ。





極楽長屋 (マッグガーデンコミックスEDENシリーズ)

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