綾野くんの『シャニダールの花』


単館上映なので、いつもの新宿ピカデリーのすぐ近くテアトル新宿に初めて行きました。
まずはその、ピカデリーとの落差にびっくり!
昔ながらの映画館、とてもレトロな雰囲気でした。
ポップコーンも紙袋に入ってるほうが美味しい気がする(笑)



さて、肝心の映画感想ですが…ネタばれあり、不満も満載なのでたたみます。




綾野剛くん主演、とてもロマンチックで不思議な雰囲気の予告、これは期待大。
なのに、なのに、途中で寝そうになってしまった…。
滅多にこんなことないんですけど、とにかく緩慢で理解不能の内容だったんです。
単に私の頭が悪いだけなのかもしれませんが。
パンフも何も買わずに帰ってきてしまいました。
ほんと残念…。





美しい少女の胸にしか咲かないという幻の花、シャニダール。
その育成を研究する施設が舞台です。
研究員である綾野くんの白衣姿はとーっても良かった。
眉根を寄せて悩む、考え込む姿は彼の得意とする演技なのでピッタリな配役だったと思います。
お相手役の黒木華さんも、若いのに落ち着いた雰囲気のある女優さんで好感持てました。


でもでもでも、なんだかすべてがしっくりこない、消化不良。
シャニダールの花の不思議さも中途半端だし、素敵なお話なのにそのモチーフを生かしきれてない歯がゆさ。


刈谷友衣子さん演じる優等生キャラのハルカちゃん、自分を犠牲にしても他人を救おうとするんだけど、なにせ暗い印象しか残らない。
ナイーブで優しくて芸術的才能のあるお嬢様なのに、もったいない。
もっと可愛らしい部分を出してあげたかった。


そもそもヒロインの美月響子が、決して明るく元気というキャラじゃないし、他の女性陣もみんな暗くてどんよりしてるのもどうだかなあ、と。
特にヒロインは、最後のほう単なる不思議ちゃんにしか見えなかった。
黒木さんが、清潔感のある知性的な女優さんなだけにもったいない。


綾野くん演じる大瀧先生だけがかろうじて正気を保ってる感じ?
それだって、周囲の影響で精神的に不安定っぽいし、全体的に「みんな、大丈夫?」ってずっと思いながら観てました。
狂気を表現した映画ではないけれど、どうも精神を病んでる人が多いなあという印象です。


あ、所長役の古舘さんが、胡散臭い役をとても上手に演じてました。
全体の引き締め役というか、現実感が漂う唯一の人間。


メインキャラを途中から昏睡状態にさせるって、なんかチープな発想だと思います。
何か別の選択肢はなかったのか、もっと二人の関係とシャニダールの花との接点を掘り下げて欲しかった。
ラスト近く、幻想の中(?)で二人が出会い、そこに咲いている一対のシャニダールの花に向かって「これがあなたと私」みたいなセリフを聞いた時に「はぁ?」と思ってしまいました。
さんざん引っ張っておいて、そういう陳腐な結論をさらっと言っちゃうことにガッカリ。
さらにそこから引きのカメラで、遥か彼方まで広がるシャニダールの花の洪水は意味不明です。


そもそも選ばれた(?)女性*1にだけ咲く花という題材なのだから、もっとファンタジックで美しい物語かと思ったのが間違い。
美月さんが頑張って幻想的な女性を演じてるし、幻想というか幻覚的なシーンもちょっとだけあるけど、あざといというか不自然すぎる。
あれじゃ恋人の大瀧先生だってひくわー。
嫉妬とか自己顕示欲とか名誉とか、そういうドロドロしたものとは別に、切なくてロマンチックな部分をもっと描けば綾野くんと黒木さんの魅力を最大限に生かせたかもしれないのに。


大瀧先生と美月さんのkissシーンは、綾野くんが「ほんとにkissすると生々しくなるから鼻kissにした」という意味のことを言ってましたが、正解だと思いました。
それはとても良かったのに、その直後にもう一緒のベッドに寝てるシーンて。
「へ?」「いつのまに?」「へー?」って興ざめ。
決して嫉妬ではありませんが(笑)、プラトニックなままに進行したほうが切なかったように思います。


この映画、そういう一足飛びな感じのシーンが多い映画です。
「へ?」「なんで?」みたいな。
観ている側は意味わかんないけど、まあそういうことなんだろうと思いながら「結局どうなの?」って疑問を持ち続けて観る映画。


ラスト近くのだらだらと続く「その後・・・」みたいなのがよけいだったかなあ。
美月さんが謎の昏睡状態になって、それを嘆き悲しむ大瀧先生がいて、そこでエンディングでも良かったような。


私の想像力が足りないんでしょうけど、あまりにも消化不良な内容でした。
良かったのは、綾野くんの衣装。
本人も「衣装合わせに時間をかけた」と言っていた通り、なかなかオシャレで似合ってたと思います。


なんだか貶す一方の感想になってしまいましたが、この手の単館系映画に不慣れな私なのでお許しください。
今後も次々と綾野くん主演の映画が封切られるので、そのへん期待です。
とはいえ、期待してるのは『ガッチャマン』だけ(笑)
暗くてどんよりした役以外の、空井くんみたいな子犬系の役をやっていただきたい!
と、勝手なにわかファンのつぶやきでした。

*1:その辺りの説明もあいまい。どんな条件で選ばれてるのか最後までわからない。何の目的で栽培してるかも謎。