『悪の教典』 読んでから観た  

(23:30 加筆しました)

貴志佑介ファンとして、この長編小説はなかなか楽しめた。
あくまで小説としては、の話。
これが2時間の映画化となると…。
以下、ネタバレありなのでたたみます。





小説でも映画でも、後半が殺戮のオンパレードになるのは同じ。
ただ、映画で前半を観た時に「これって小説を読んでなくても面白いのかなあ」という思いがありました。


小説よりずっと少ない教師陣、エピソードもかなりカットされていて、ディテールが抜け落ちてるのが気になってしかたなかったです。
色っぽい女性養護教諭と生徒のHな関係、体育の柴原教諭(山田孝之)のキャラ設定、蓮見の親衛隊であるESSの存在、生物の猫田教諭の不気味さ、蓮見と美彌の濃密な関係などなど原作に散りばめられていたフラグがほとんどスルーされているのは残念。


なので、後半の殺戮シーンがやたらと長く感じ、血のりの多さにいささか辟易してしまったほど。
サイコとかホラーとか大好物の私でさえこうだから、普通の人が観たら気分悪くなるんじゃないかしら。


とは言え、原作でも極悪非道のハスミンはとても魅力的でしたが、映像となるとまたひと味違った楽しみかたがありました。
それは、伊藤英明の鍛え上げられた肉体美。
私としてはちょっとマッチョ過ぎなんですが、やはり丹念に作られた筋肉は色っぽくて美しいものです。
もっとSEXシーンあったほうが良かったなあ。


そういう意味では美術の久米教諭と生徒の前島のベッドシーンがなにげにエロかった。
あと、美彌にセクハラしてた柴原が、ハスミンから美彌のパンティを渡された時、クンクンって匂いをかいで「安原?」って当てたのはギャグなのか何なのか(笑)
もちろん、原作にはないシーン。
しかも美彌はもうその時点で殺されてる*1し、その直後の柴原も殺されるという流れの中で。


そういえば、メインキャストの一人である早水圭介の殺され方も原作と違ってたし、ラストでハスミンが逮捕されるきっかけとなるAEDに録音されてた音声(というか録音されている時点の殺戮シーン)もちょっと違ってたし、殺戮に関しては全体的にわかりやすく簡潔になってました。


原作者の貴志佑介がカメオ出演してるのは、ハスミンに「頑張ってください」と職員室で声をかける古典の先生役です。
なかなかの芸達者っぷりがほほえましかったです。


ライフル銃が生きているかのように肉体化して話しかけるのは、ちょっと興ざめかな。
CG駆使してまで表現する必要はなかったのではないかと。
原作ではハスミンの脳内の声、というだけの設定だったので。


あと、久米教諭役の平岳大とモンペな父親清田役の滝藤賢一*2が、前期のNHK朝ドラに出てたのを思い出してクスッとなったのは私だけではないはず。



というわけで、とりとめない感想でしたが、とにかく暗くて残酷な内容です。
上映後にこれほど後味の悪い映画も珍しい。
誰が悪いというわけではないんですが、映画化しなくても良かったのかなー、なんて。
私が想像してたより主人公の女子生徒、怜花が地味だったし、もう少し華のある俳優陣女優陣が欲しかったという思いもあります。
男子生徒ももうちょっとイケメン指数を上げても良かったんじゃないかなあ。
ジャニーズ出せ、とは言わないけど(笑)
とにかく、血のりが弱いかたは絶対に観てはいけない映画だということだけは確実なようです。
エンディングテーマ(EXILE?)で、ちょっと救われました。
次はイケメンたっぷりの『ストロベリーナイト』を観る予定。
ぐふふふふ。

*1:ラストで意識を取り戻したけど。

*2:『踊る〜』でも変な中国人の役で出てたわー。売れっ子ですねー。というか印象に残る俳優さん。