読書の日記 (3/27加筆修正しました)

だいぶ空いてしまいまして、だいぶたまっております。
ので、ささーっと備忘録的に。


長めなのでたたみます。






おまえさん(上) (講談社文庫)

おまえさん(上) (講談社文庫)

おまえさん(下) (講談社文庫)



帯によれば『ぼんくら』『日暮らし』に続くシリーズ最新作とありますが、たぶん私は『ぼんくら』は読んでる気がします。
今回はいきなりの文庫化という嬉しい新作で、迷わず宮部ワールドに飛び込みました。


本所深川の同心である平四郎が巻き込まれる殺人事件なのは、あいかわらず。
今回は痒み止めの新薬を巡ってさまざまな人間模様が織りなされ、あれもこれもとっ散らかった殺人事件が、最後にはすぅーーーっと収まるところに収まって行く快感。
そこに行きつくまでの、若手同心信之輔、"ご隠居"源右衛門、平四朗郎の幼いながらも天才肌の甥っ子弓之助、信之輔が惚れてしまう薬屋の一人娘である史乃たちそれぞれの描き方が、もうこれでもかってくらい人間臭くてまるで目の前のお芝居を見ているよう。


最後は切なくって、でもちょっぴり甘酸っぱい、そして「この頃の日本人って、いいなあ」と素直に思える江戸推理物語です。
私は、主人公の平四郎が行きつけの総菜やのおかみ、おとくさんの大ファンです。







ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)


最近、伊坂幸太郎をけっこう読んでます。
この作者の書く会話、特に男性の会話が好きなんです、なんとなく。
男性も女性もみんな、ひとくせもふたくせもあって、でも魅力的なんですよね。


泥棒である中年男性の黒澤、宗教団体に入信している若者の河原崎、精神科の女性カウンセラー京子、リストラに遭い家族にも疎まれる男豊田、この4人のそれぞれの行動が、かわるがわる描かれて行くストーリー。
一見、何のつながりもなさそうなのに、ラストは衝撃の…。


こういうだまし絵的な小説は、もう一気読みが爽快です。
というか、黒澤さんかっこいいです(笑)







分身 (集英社文庫)

分身 (集英社文庫)


東野圭吾、この作家の『歪笑小説』というユーモアとペーソスに満ちた短編集もとても楽しくて、一気にファンになりつつあります。
『分身』は、鞠子という若い女性が主人公のサスペンス長編ですが、最近流行りの遺伝子学を基盤にした現代医学の闇を扱った小説。


自分と瓜二つの人間を見たら、誰だって驚愕し「なぜ?」と思うでしょう。
他人の空似というにはあまりにも「同じ顔」というのは不気味で、その原因を探ろうとするでしょう。
そんな禁断の領域に踏み込むことになった鞠子と、同じ顔の持ち主である双葉。
これもまた、二人の人間が交互に一章ずつ登場して続いて行く形式です。
さて、その複雑で不思議な縁とは…。



ちなみに


歪笑小説 (集英社文庫)

歪笑小説 (集英社文庫)


もオススメ。
楽しいですよ。



さらにこれは


手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)


強盗殺人で服役中の兄からの手紙をもらう弟の側からの視点でえがかれた重い重いストーリー。
ラストは、悲しく切ない気持ちから、ほんの少しの希望の光をみつけたいと願わずにはいられない名作です。







てのひらの迷路 (講談社文庫)

てのひらの迷路 (講談社文庫)


この人は、小説よりもその人物像が好きなんですよね私。
そんな石田衣良私小説っぽい短編集。
若いころの恋愛、作家としてのデビュー話、自宅を購入する話、散歩の途中で知り合ったおばあさんの話、などなどが石田氏本人の詳細な注意書きつきで読めるという趣向。

人となりが想像できるし、ほんのちょっぴり脚色してあるところを探しながら読むのが楽しいです。
この人の生き方、肩の力が抜けてるのにオシャレな感じで憧れるなあ。







他には、いつも同じ顔ぶれで申し訳ないですが




放火魔 (文春文庫)

放火魔 (文春文庫)


失踪症候群 (双葉文庫)

失踪症候群 (双葉文庫)



どちらも独特の雰囲気を持つ小説。
折原一は、短編集なので読みやすいのでオススメ。





ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)

ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)


信仰の現場―すっとこどっこいにヨロシク (角川文庫)

信仰の現場―すっとこどっこいにヨロシク (角川文庫)


上記二冊はお笑い系。





さて、今はまた伊坂氏の『フィッシュストーリー』を読んでます。
映画化もされるようで、楽しみです。



映画化は文庫の『フィッシュストーリー』に収録されてる『ポテチ』の誤りでした。
お詫びして訂正いたします。