亡父の一周忌にて

早いもので、実家の父が亡くなって一年が経とうとしています。
4年前に逝った母をずっと恋しがっていたので、今ごろは生前のようにケンカしながら仲良くしていることでしょう。
私はと言えば、いまだに寂しさが募り、父の残した日記帳を読みたいのに読むと涙が止まらなくなりそうなのでそのままです。
でも最近になって仕事を再開したこともあって、ずいぶん元気になりました。





というわけで、先日は静岡のほうで父の一周忌法要を営んだのですが、そこで不思議なできごとがあったんです。
法事が始まる前にお寺の控室で従姉とお茶を入れていたら、とても美しくて大きな黒アゲハ蝶がヒラヒラと窓から入ってきて、従姉と私の目の前でしばらく舞ってから去って行きました。
従姉が「お墓参りや法事の時に、ときどきこうして蝶が飛んでくるけど、あれはきっと亡くなった誰なのよ。今のは叔父さん(私の父)だと思う。」と言いました。
私もきっとそうだと思ったので「うん、きっとパパかママかどっちかだね。」と答えました。
その時に、本当なら私の娘も一緒だったのですが、ちょうどお手洗いに行って席をはずしていました。
父も母もとにかく孫娘のことを、目の中に入れても痛くないほど溺愛していたので「Aちゃんがいなくて残念」と思い、お手洗いから帰った娘に「今、こんなことがあったのよ」とアゲハ蝶のことを話しました。
娘は大いに不満だったらしく「私だけハブかよ〜」とふくれていました。


と、ここまでなら「ふーん」なのですが、実はこのあとの話があるんです。
法事の次の日、娘がなにげなく「そういえば、あのお寺で飛んできた蝶ってどんなの?」と聞きました。
「えっと、黒アゲハ」
「黒アゲハってどういうんだっけ?」
「全体は黒くてアゲハ蝶の形。羽の下のほうにちょっとオレンジ色が入ってるの」
「それ…私がお料理やさんの庭に出たら向こうのほうで飛んでた…」
「ええええええええええええええええええええええええええ」
「おじーちゃんかも…」
「うん、ばぁばちゃんかも…」


娘が言うには「私が虫を苦手なこと知ってるから、近くには飛んでこなかったんだと思う」とのこと。
確かに娘は蝶でも蚊でも飛んできたら大騒ぎするほど昆虫が嫌いです。
父でも母でも、娘のそばに来ないのは考えられないので、たぶんその辺りを気遣ってのことかもしれません。
この出来事、ただの偶然だとは思いますが、本当に不思議です。
あなたは死後の世界を信じますか?