んぎゃああああああああああ


◆ G in the oven ◆



いつものように平和なW家の朝。
一番早く起きた妻は、いつものようにキッチンでお湯を沸かそうとシンクに近づく。
と、何やら微かな音が聞こえた。
カサ…カササ…。
カサカササ…。



これは…?
もしや…?
あのおぞましい音は…!!!!!!!!
早急に原因を駆除しなければならない。
妻は恐怖と闘いながらもう一度耳をすます。
どうやら音はキッチンの、シンクと反対側から聞こえてくるようだ。
キッチンは、シンクとコンロと作業台が一列、それと向かい合って食器棚、冷蔵庫、家電ラックが一列に並んでいる作り。



妻は駆除スプレーを手に、果敢にそして手早く敵がいそうな狭い場所に噴霧して廻る。
食器棚とラックの隙間、冷蔵庫の下、壁と冷蔵庫の間、ラックの後ろ側。
命中はしなくても、薬剤に触れるだけでヤツをしとめることができるはず。
そうして隅々までスプレーをし終わり、再び耳を澄ます。
と、…音は止んでいた。



ヤツの姿は見えないが、たぶん命は時間の問題。
どこかでひっそり死んで、あとで干からびた死体をかたずけることになるのだろう。
そう思って妻は、まだ少しの不安を残しながら朝食の準備にとりかかった。
いつものようにお湯を沸かし、もうすぐ起きてくる娘のためにトーストを焼かなければ。




電気ポットのスイッチを入れて、冷蔵庫の冷凍室から食パンを一枚取り出す。
そのままオーブントースターの中に入れて、3分にセットすれば…。




んぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ



オーブントースターの中、片隅になんかいますことよ!
茶色い物体ですことよ!
これは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
妻、パニック。




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ま、結論としては、そこで弱って動けなかったらしく。
殺虫剤が効いて、よたよたしながらそこまで登ったのかどうかは不明ですが、周囲にフンがいっぱいあったので、苦しみながら迷いこんだのかも。
そこで、迷わずトースターの中に殺虫剤ジェット噴射!
間髪いれずにトースターのドアを閉める!
何分後、極悪Gは大人しくお縄になりました。




そして問題はトーストをどうやって焼くかですよ。
賢い主婦は、そこで慌てず騒がず魚用のロースターに点火して、上下火加減を調節しながら上手にパンを焼きましたとさ。
めでたしめでたし。




Gが入ったトースターは、そのままマンションのゴミ置き場に直行でございます。
とーぜん!







そして新しいトースターがW家にやってきたというわけさ。
まあもうだいぶ古かったらいいけどさ。
ちぇっ。