久々の読書日記


久々のブックカテです。
かなりの冊数を実は読んでいるのですが、なかなかアップできずに放置でした。
ので、ごく一部だけご紹介。





プラチナデータ (幻冬舎文庫)

プラチナデータ (幻冬舎文庫)


今年3月に映画公開される東野圭吾の小説、文庫になってすぐに読みました。
その時点では映画化は決定しておらず、もし今読んだらたぶん脳内ではニノがずーっと主役を張っていることでしょう。


DNA遺伝子のデータに基づいて革新的な犯罪捜査を行う、という奇想天外というよりは微妙なリアリティを持ったストーリー。
私たちの遺伝子データを警察がデータとして持っていたら…なんて考えるとゾッとしますよね。
でも、近い未来にそういうことは起きるかもしれないのです。
そして、そのデータがあれば殺人事件の検挙率は飛躍的に上がるというわけです。

ストーリーは、その捜査システムの開発者が殺され、その犯人としてデータ解析されたのが警視庁特殊解析研究所員の神楽龍平の名が挙がったことから始まる。
神楽は捜査する側として警視庁にいるのに、なんと犯人としてマークされてしまう。
さて、彼はどうやって潔白を証明しようとするのか、それとも彼が真犯人なのか。

難しい専門用語も多少は出てくるけれど、登場人物の描き方が魅力的だし(いつものこと)、ストーリー展開もスムーズでわかりやすくて東野ファンとしては大満足です。






悪人(上) (朝日文庫)

悪人(上) (朝日文庫)

悪人(下) (朝日文庫)

これも過去に映画化されたので、脳内では妻夫木聡深津絵里が共演しておりました。
が、これがまた何とも奇妙な物語で、ラストは「むむむ…」って感じでした。


土木作業員の清水という青年が、ひょんなことから殺人を犯してしまうところから始まるストーリー。
幼いころに母親に捨てられて祖父母に育てられた彼は、素朴で祖父母孝行のおとなしい若者のはずなのに。
一方、これまた普通のOLである馬込光代は、軽い気持ちで携帯サイトに登録して清水と知り合う。
そして二人の逃避行が始まる。


内容が内容だけに、ストーリーは重くて暗くて、でも救いがありそうな展開なので読み進んでいました。
なのにラスト、あっけないというか物足りないというか。
このラストをどう捉えるかは、人によってずいぶん違うんだろうなあ、と思います。
人間の心の不条理を改めて感じた読後でした。
映像化するとまた違った魅力があったように思います。
映画、見ればよかったなあ。






顔に降りかかる雨 (講談社文庫)

顔に降りかかる雨 (講談社文庫)


桐野夏生の93年江戸川乱歩賞受賞作。
以降、主人公である村野ミロのシリーズは、私もいくつか読んでます。
女性作家には珍しく、新宿歌舞伎町を舞台として女探偵が活躍するという痛快というか豪快なストーリー。
心身共に強靭な女性、憧れます。
そしてもちろん、美人。


主人公の親友が一億円を持って行方不明となり、極道さんもからんだ事件に発展する中でミロが真相に迫る。
警察ではなく、探偵(正式に探偵業をしているわけではありませんが)という素人っぽさがミソ。
登場人物もバラエティに富んだ適度な人数でわかりやすく、そんな中で二転三転する展開。
そして、ラストに衝撃的な事実が…。


私は、ミロと一緒に親友を探すという設定の、親友の愛人である成瀬が超好み。
ちょっぴりSっ気があってイケメンで、まっとうな男じゃないんだけどなぜか清潔感がある感じ。
成瀬とミロの微妙な男女関係にもときめきながら、一気読みでした。






九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)



この著者の『アミダサマ』を読んだ時、最後まで異世界感に馴染めず「え?え?え?え?」だったのですが。
今回はかなり現実世界の物語だったので、違和感なく楽しめました。


高校生の息子が突然の疾走、そして元夫の娘の自殺、元夫とその妻の過去と現在、すべてが忌まわしい出来事の連続。
息もつかせぬ展開で、謎の人物が多数出てきます。
「この人が犯人?」「この人、いったい何が目的でこんなことしてるの?」など、全員が「あやしい」感じ。
特に、甲斐甲斐しく主人公佐知子の世話をする、息子の同級生のお父さん服部がコテコテの関西弁おっさんでいい味出してます。






逃亡者

逃亡者




『悪人』と同じく逃避行ものですが、こちらはなんと15年間という気が遠くなるほどの年月を逃げ続けるという物語。
同僚の女性と夫の交換殺人を犯した智恵子。
約束したはずの同僚は、なんと裏切って智恵子の夫を殺してないのです。
そこから始まる、警察と夫からの逃亡生活。
果たして智恵子は逃げ切れるのか。


私の大好きな折原一、ということで当然叙述ミステリーです。
逃亡先ごとに章が分かれ、合間には智恵子と関わった人々のインタビューというか取り調べのようなやり取りが入る。
智恵子の人生を通り過ぎて行った誰が、どういう役割を果たしているのか、読み進めて行くしかない。
最後まで「いったいどうなるんだろう」という不安と期待でドキドキしながら、驚愕の結末へと辿り着きます。
「えええええええええええええええええええ!」ってなること請け合い。
だって、まさか、こんなところにこの人が…。
折原トリックにまたしても酔いしれました。





その他には、

機長からアナウンス (新潮文庫)

機長からアナウンス (新潮文庫)



聖☆おにいさん(8) (モーニング KC)

聖☆おにいさん(8) (モーニング KC)



Z完全版

Z完全版






そして、今は折原一の古い作品『螺旋館の奇想』と、これまた古い東野作品『白夜行』を読んでます。
白夜行』はすごい長編ですが、あまりの謎の散らばりっぷりにどんどん先が知りたくなって、ハイスピードで読み進み中。