『最強のふたり』  (耳は性感帯です)

映画感想の前にご報告があります。








昨日、またやらかしました。






「食事のあとは口周りに注意」ということで、一人ランチのあとは完璧!
口紅も直してパーフェクト!
そしていざ映画鑑賞へ。


ランチの量を少なめにして、やっぱりここはポップコーンでしょ。
素晴らしい映画とポップコーンとコーラ、これ鉄板。


終了後は余韻を味わいつつ帰途につきました。
家について洗面所で鏡を見ました。








前日と反対側の口もとにポップコーンのかけら。
絶望感。








「食事のあと、そして映画館でポップコーンを食べたあとは要注意」
ほんと二日連続って、呪われてるとしか。








さて、気を取り直して映画の感想文です。
ネタバレもあるので、たたみます。





2011年公開のフランス映画ですが、フランスで3人に1人が観たという傑作だそうで、期待してました。
そして、期待以上の作品でした、ほんとステキ。
実話をもとにした、というのも驚きです。




フランスはパリ、大富豪の中年男性フィリップと、その介護役の若い黒人男性ドリスの物語。*1
ひょんなことからドリスを雇うことにしたフィリップと、お金のためにいやいや介護の仕事を始めたドリスが「最強のふたり」になるまでのストーリーで、特に大きな山場もなく、淡々と日常を追って行くのですが。



粗野で無礼だけど底抜けに明るくて素直なドリスに、私を含めて観客*2はクスクス笑いの連続。
雇い主のフィリップも、首から下が麻痺しているため気難しくあまり笑ったりしないのですが、だんだんドリスのペースに巻き込まれて最後はゲラゲラ笑うようになります。
なにしろドリスは、フィリップにタバコを吸わせたり、性感マッサージ(?)*3に連れ出したり、オペラの桟敷席で下品な冗談を飛ばしたり、とにかくヤンチャし放題なんですから。



そんなドリスは複雑な家庭に育ち、スラムをうろついたり平気で盗みをしたりする下層階級です。
でも「素直な優しさ、率直な勇気」は、フィリップの介護をしていくうちに圧倒的な魅力として輝いてきます。
そして逆にドリスはフィリップの温厚さ、辛抱強さ、ユーモアのセンスなどに触れるうち、少しずつ人間性を向上させていきます。
そう、二人はお互いにお互いを良い方向へと劇的に変化させて行くのです。



二人の日常に加えて、フィリップの文通相手とのデート、ドリスの母親や弟妹たちとの関係、フィリップの女性秘書や女性助手などとのユーモラスな交流、フィリップの娘の恋人との仲介役など、小さなエピソードがちりばめられています。



とにかくフィリップがいい人すぎる!
あれほどの大富豪で、しかも障害を持ちながら、品性と知性とユーモアをいつでも忘れない。
そんな彼にドリスを与えたのは神様のご褒美でしょう。
しかも、ラストにはもっと素晴らしいご褒美が!
フィリップの誕生日パーティでオーケストラのクラシックを聴いたあと、自分のロック曲をかけて踊るドリスもチョーカッケー!



冒頭の場面とラスト近くの場面のリンクのしかたも素晴らしかったし、フィリップの邸宅の前に路上駐車している車に対するドリスの態度が、最初と最後でどれだけ違うか気づくとなお深いです。



エンディングロールで、実際のフィリップとドリス(実名はフィリップとアブデル)のツーショットがほんの数秒現れますが、映画を観た直後なので超感動します。



もっともっと語りたくなっちゃうけど、あまりにネタバレなのでやめておきますが、これは今年イチオシの映画かも。
お時間あるかた、ぜひぜひ観てみてー!

*1:フィリップはフランソワ・クリュゼ、ドリスはオマール・シーが演じています。

*2:レディスデイということで、大半が女性。3分の2くらいのシートが埋まってました。

*3:性感マッサージって、実際にどこまでのことするのか具体的にはわからないけど(笑) フィリップとドリスの言う「耳は性感帯」という言葉には大いに共感できます(笑)